ダウ平均株価が上昇、下落への影響とは

ダウ平均株価が大幅な上昇や下落を行う直接的な理由は、投資家が30銘柄の株を売買することで変動します。しかし、投資家が買いや売りを一斉に行う背景には、アメリカの政治的な出来事が大きく影響しています。ダウ平均株価が大幅上昇、下落をした背景に何があったのか?事例をもとに確認しましょう。

ダウ平均の上昇幅が大きかった事例

過去にあったダウ平均の上昇幅が大きかった事例を紹介します。

1、1933年3月15日(上昇率15.34%)

1933年3月15日にダウ平均株価が大幅に上昇した記録が残っています。90年前の事なので金額では比較になりませんが、上昇率を見ると過去最大です。

この日の出来事は当時のルーズベルト大統領が、国民向けにラジオ放送を行い、世界恐慌に怯える国民の不安をなだめた3日後のことでした。ルーズベルト大統領が行ったニューディール政策が始動し始めた時で、世界恐慌をアメリカが克服しようとしているタイミングで起こった現象です。

2、2020年3月24日(上昇幅2112.98ドル)

コロナ禍が始まったころ、当時のトランプ大統領が「イースターまでの生産活動の再開」「外出自粛の規制緩和」などの発言があり、それが投資家の買い注文につながったといわれています。

さらに金融支援が実現するとの見方があり、ボーイング社ら大手航空会社株が急騰するのに加え、当時株安が激しかった金融やエネルギー株についても買い戻されたのが背景にあります。

ダウ平均の下落幅が大きかった事例

過去にあったダウ平均の下落幅が大きかった事例を紹介します。

1、2008年9月29日(下落幅-777.68ドル)

金融安定化法案を米下院が否決した日です。この法案は金融機関の不良債権を公的資金で買い取るという内容でした。当時はブッシュ(子)大統領の時代で、当初は可決するものと予想されていました。

ところが与党の共和党から大量の造反が出てしまったのです。法案が想定外に否決されたことでパニック状態になり、前日比で当時最大の下げ幅を記録しました。

2、2001年9月17日(下落幅-684.81ドル)

9.11の米国同時多発テロ後の最初の取引日で大幅な下落を記録しました。9.11では直接の被害を受けたワールドトレードセンターや周辺にあるオフィスを失うなどの被害やコンピュータの一部も停止するなどの状況に陥ります。そのため、11日火曜日の事件当日から15日金曜日まで、株式市場が臨時休業するという事態になりました。

世界大恐慌以来の市場封鎖により、17日にようやく市場が開きました。再開当日は株価が下がることは当然と思われており、実際に急落したのです。