電気料金が値上がりしている理由は複数ある

電気料金がますます値上がりしていますが、そもそもなぜ電気料金が値上がりしているのでしょうか?ウクライナ情勢や円安など理由はひとつだけでなく、複数の理由が複雑に関係しています。そして長期的にはどうなるのか解説していきます。

天然ガスと石炭の原料価格上昇が電気料金に影響

経済産業省の統計こちらによると2022年の日本の電源構成を見ると次のようになっています。

電源構成の割合 前年との比較
火力発電(バイオマスを除く) 72.7% 0.1%減
再生可能エネルギー発電(水力を含む) 21.7% 1.4%増
原子力発電 5.6% 1.3%減

資源エネルギー庁の統計によれば、7割以上を占めている火力発電のうち、使用する化石燃料の内訳をみると天然ガス(LNG)45.4%、石炭が42.2%と天然ガスと石炭が全体の9割近くを占めています。

つまり発電のための原料である天然ガスと石炭の原料の価格が高騰すると、電気料金の値上げにつながります。なぜ石炭や天然ガスが高騰しているのかと言えば以下の理由が考えられます。

  • 新型コロナウイルス禍後の経済活動で化石燃料の需要が増大した
  • Co2排出量が少ない天然ガスの需要が増大した
  • ウクライナ情勢で輸入が制限されているロシアは化石燃料で輸入上位の国だった
  • 2022年以降の円安の影響で化石燃料の輸入価格が高騰している

値上げの背景には、2011年以降の電力供給不足と再エネルギー促進がある

理由のひとつに2010年を境に発電電力量がやや減少していることが考えられます。2011年に東日本大震災が発生し、それまで全体の25%を占めていた原子力発電が次々と停止したことで、電力供給に大きな影響を与えました。

対して電力需要は減少していないので、需要と供給のバランスがおかしくなり、電気料金が上昇しているのです。

さらに環境問題として、古い火力発電所が減少しており、代わりに普及させようとしている再エネルギーの賦課金が上昇していることも影響しています。

再エネルギーの賦課金単価の推移をグラフで見ると、2012年度kwhあたり0.22円だったのが2021年度は3.36円となっており、電気料金値上げの要因のひとつになっています。

長期的には電気料金が落ち着く可能性がある

長期的にみて電気代はどうなっていくでしょう。資源エネルギー庁による2023年の資料によれば、今後の再生可能エネルギーのさらなる増加を見込んでおり、2030年度には全体の36から38%を再エネルギー関係で賄うことが発表されました。

再エネルギーは、ウクライナ情勢などの海外での紛争や為替レートに影響を受けない国産でまかなえるものです。再エネルギーの比率が増えれば、電気料金の上昇が抑えられると考えられます。