脇汗の専門的な治療法

脇汗に悩む人は多く、日常生活や仕事に支障をきたすこともあります。専門医の受診によって受けられる、脇汗の治療法について解説します。

ボトックス注射

まず、比較的手軽に行える治療法として知られているのがボトックス注射です。ボトックスは、神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を抑制し、汗腺の働きを低下させることで発汗を抑えます。この治療法のメリットは、効果が早く現れ、施術も短時間で済む点です。通常、施術後数日から1週間程度で効果が現れ、効果の持続期間は約6か月です。効果が切れるとふたたび注射が必要になるため、定期的なメンテナンスが必要です。

出典:ボトックス注射による腋窩多汗症の治療 | 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院

イオントフォレーシス

次に、切らない治療法としてイオントフォレーシスがあります。これは、水に浸した手や足、脇などに微弱な電流を流すことで汗腺の活動を抑制する方法です。初期治療では、1回20〜30分のセッションを週に数回行い、効果が見られるようになったらメンテナンスとして週1回程度のセッションを続けます。この治療法は、継続的に行う必要がありますが、薬物や手術を伴わないため副作用が少ないのが特徴です。

出典:汗の病気―多汗症と無汗症― Q10 – 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)

外科的手術

重度の脇汗に対する最終手段として、外科的手術があります。代表的な手術法には、交感神経切除術と呼ばれるものがあります。この手術は、脇汗の原因となる交感神経を切断することで発汗を抑制します。手術は全身麻酔下で行われ、術後の回復には数日から1週間程度かかります。この方法は効果が高く、半永久的に脇汗を抑えることができますが、リスクや副作用も伴います。例えば、代償性発汗(身体の他の部分で発汗が増加すること)や手術後の痛みなどが挙げられます。

その他の治療法

その他にも、アルミニウム塩を含む制汗剤や、内服薬を用いた治療法があります。アルミニウム塩は、汗腺を一時的に塞ぐことで発汗を抑える働きがありますが、皮膚刺激を感じることもあります。内服薬は、交感神経の活動を抑えることで発汗を抑制しますが、副作用として口の渇きや便秘が生じることがあります。

自分にあった治療法をみつけよう

脇汗の治療法には、ボトックス注射やイオントフォレーシス、外科的手術など複数の選択肢があります。それぞれの方法には効果があるいっぽうで、副作用的なデメリットがあります。自分に合った治療法を見つけることが重要です。医師と相談しながら、適切な治療法を選択し、日常生活を妨げる要素を取り除いていきましょう。