大手電力7社が電気代値上げについて経済産業省が認可
2023年5月19日のニュースによると、2023年6月からの値上げについて各社の発表によると、平均して次のような値上げ幅になりました。なお今回の発表では、中部電力、関西電力、九州電力の3社はこの時点での値上げを行いません。
電力会社 | 値上げ率 |
---|---|
東京電力 | 15.9% |
北海道電力 | 23.22% |
東北電力 | 25.47% |
北陸電力 | 39.7% |
中国電力 | 26.11% |
四国電力 | 28.74% |
沖縄電力 | 33.3% |
今回の電気料金値上げについて、経済産業省は当初最大5割の値上げ申請がされたのを受け、燃料価格の見積もりの再計算や固定費の経営効率化について厳格な審査を行いました。その結果、5月19日に申請を許可することになり、最終的に14%から42%の幅に収まっています。
大手電力会社7社が電気料金を値上げした理由
大手電力会社7社が電気料金値上げに踏み切った理由は何でしょう。理由は発電の原料となる燃料の価格高騰です。
天然ガスの価格推移をみたところ、2000年以降に上昇傾向となっており、2022年にはロシアのウクライナ侵攻の影響でさらに天然ガスの価格が高騰しました。
出典:天然ガス価格の推移
同様に石炭の価格推移を見たところ、天然ガス同様に2000年以降に上昇傾向となり、やはり2022年に大幅に価格上昇していることがわかります。
ロシアは世界ではトップクラスの化石燃料輸出国ですが、経済制裁を行なっているため、ロシアからの化石燃料が入らなくなり、世界的に価格が上昇しています。
出典:石炭価格の推移
加えて、円安傾向になっていることも大きな要因になっています。日本の自給率がほとんどない化石燃料は輸入に頼らざるを得ないために、大手電力会社は電気料金値上げに踏み切りました。
電気価格激変緩和対策中に行われた措置
今回の大手7社一斉の値上げは、政府が行っている電気価格激変緩和対策中に行われた措置ということもあり、家庭の負担は軽減されている中で行われました。
しかし、2024年5月をもって激変緩和対策は終了することになっており、6月以降の電気料金上昇が懸念されます。
値上げ後も厳格なチェックが求められる
資源エネルギー庁によれば値上げについては、「高コスト体質」とする大手電力会社に対して、消費者庁から審査を強化するよう経済産業省に求めました。その結果、最大で23%の費用削減を求めるなど厳格な審査を行なったうえでの措置です。
値上げ後も、大手電力各社に合理化を求めて電気料金の負担を軽減するよう厳格なチェックが求められております。
中長期的には省エネ対策の徹底と、再エネや原子力と言った脱炭素系電源の転換の促進を促しながら、燃料化価格が高騰しても最小限度の影響で住むエネルギー供給の構造転換を進める予定です。