金の過去の価格推移をチャートで振り返る

金そのものは、昔から存在していましたが、長らくは投資対象ではありませんでした。金が投資対象になったのは、1978年4月の金輸出自由化以降です。今回は長期的な金のチャートを確認しながら金が投資対象になってから最も金の相場が低いときと最も高いときの出来事を解説します。

金価格の推移


出典:金価格の推移【2000年~2023年】

2000年からの24年間の長期にわたって金相場がどのように推移していたのかのチャートを見ると、基本的には右肩上がりに上昇しています。このころはITバブル崩壊、アメリカ同時多発テロなど不安定な社会情勢が影響しました。

2011年ごろに大きな山を迎えたのち、2015年頃まで下降します。これは米国の金融緩和策において縮小の可能性があると投資家が判断した結果でした。2020年以降は新型コロナウイルスやロシアウクライナ問題での世界的なインフレ発生で再上昇し、一進一退を繰り返しながらも2024年の時点でも金相場は高値で推移しています。

金相場が低いとき

金が投資商品となるといきなり上昇し、1980年1月には1gあたり6,945円を記録しました。しかし、この直後に下落するのですが、下落幅が大きく4カ月ほどで半額近い3,000円以上も下落してしまったのです。その背景にはアメリカと旧ソ連との間の緊張緩和があげられており、緊張緩和によってドルの価値が高くなり、ドルと逆相関関係がある金価格は下落しました。

しかし金の下落は2000年ごろまで20年近く続きます。1985年のプラザ合意、1987年のブラックマンデーなどの状況下においても日本ではちょうどバブル景気の最中で、日中平均株価が4万円近くにまで上昇します。投資家は上昇を続ける株式に投資を行ったため金への投資が少なくなり、金の相場が低迷を続けました。ところがバブルが崩壊した90年代になっても金の相場は上がりません。1gあたり1,000円台と低迷を続けました。

出典:歴史で学ぶ金価格-1980年代~1990年代

金相場が高いとき

金相場は2000年以降に上昇していきます。2000年を過ぎると低迷だった金相場がいきなり右肩上がりに上昇していきます。それまで金があまり伸びなかったのは米国のITバブルがありました。ITバブルのころは新興企業への株式投資を投資家が行ったため、金には魅力を感じていませんでした。

しかし2001年にITバブルが崩壊し、さらに2003年にイラク戦争が起こった際に、世界は混乱し安全資産である金への投資が増えたのです。2008年頃には一時金の上昇が抑えられましたが、2010年以降に再び金相場が上がったのは、中国の高度成長が背景にあります。中国は伝統的に金に対する関心が高い為、金への投資が増えました。さらにインドでも金への投資が増えてきたために、金価格の上昇につながっていきました。

出典:歴史で学ぶ金価格-2000年以降