金の相場はどうやって上がるのか
金は安全資産とも安定資産ともいわれている投資商品ですが、金の価格は常に変動しています。そのため金を投資材料として考える場合、金相場が上がる要因を把握しておくと、購入するタイミングがわかり利益につながる可能性が強まります。今回は金の価格が変動し上がる要因について解説しましょう。
需要と供給のバランス
金に限らず世界中にある資産や物は、需要と供給のバランスで価格が決まります。金鉱山からの金の算出や金が入った製品をスクラップにして回収するなどして手に入れた金が供給量です。それに対して、手に入った金を製錬して宝飾品や金貨、延べ棒にしたものを購入する量が需要量です。
さらに世界各国の中央銀行の売買量なども加味された様々な要因で金の価格が決まります。そして金相場が上がるタイミングは需要量が供給量を上回った時と理解しておきましょう。
インフレーション
インフレーションとは、物価上昇が続くと発生するもので、金などの物の値段が上昇し、その結果購買力が低下する現象です。物価上昇により現金の価値が下がってしまいますが、金の場合は物でもあるので、金そのものの物価も上昇します。さらにインフレが予想されると金の需要が集中する傾向があります。価格上昇に拍車をかけるので、このような局面になったら金相場を注視しておきましょう。
テロ・戦争・財政破綻などの地政学リスクによるもの
テロや戦争、財政破綻といった事態が発生すると、株式や債券といった投資用の金融商品の関連組織が影響を受けると、価値が無くなるリスクがあります。一例を言えばある株式会社が倒産した場合、その会社の株式の価値は無くなるでしょう。しかし、これらの地政学リスクが発生した時には、逆に金の需要が高まり金の価格が上がります。
過去の一例として1997年のアジア通貨危機でタイバーツが暴落しました。その後タイではいざというときのために金を購入する人が増えました。
米ドルとの関係
一般的に世界の基軸通貨と言われてる米ドルと金相場は逆相関関係といわれており、金の価格が上がるタイミングは米ドルが安くなります。理由は金の価格が米ドル建てのため、両者が連動するからです。
例えば米国の景気が良くなると金利が高くなりますが、そうなるとインカムゲイン(配当・利息)のつかない金よりも、配当や利息がつく株や債券に投資家は魅力を感じます。結果的に金が購入されなくなり価格が下落するでしょう。
逆に米国をはじめ世界経済が不安定になると、株や債券よりも安全資産としての金が見直され、投資家は金の購入に走ります。そうなると金価格は上昇します。